基礎構文の復習２

　新規、あるいは製作途中のプロジェクトの中で新しいSceneを１つ作成します。（Project内でメニューを表示し、Create => Scene で作成できます）。
名前はTestとしてください。

　作成したTestシーンをダブルクリックしてシーンをTestシーンに切り替えます。

　ヒエラルキー上にてメニューを表示し、Create Empty を選択して、空のゲームオブジェクトを１つ作成してください。
名前はDebugにしてください。

　Project内にてメニューを表示し、Create => C# Script を選択し、名前をScriptTest_0としてください。
各問題ごとに ScriptTest を作成しておくようにし、最後の数字を順番にScriptTest_1、ScriptTest_2 と変えて作っていきましょう。

動画ファイルへのリンク

　作成したスクリプトは、先ほど作成したDebugゲームオブジェクトにアタッチして動作検証してください。

　それでは練習を始めましょう。

　各問題には回答のサンプルを用意してありますが、まずは、力試しをすることが大切です。
１人でがんばって考えてみてください。

制御文

　以下の問題に対して、ScriptTestにソースコードを書いて、正常に動作することを検証してください。

＜問題＞

　以下の条件に基づいて、プレイヤーのキャラクターの進行状況を判定し、メッセージを表示するプログラムを作成してください。

　　・キャラクターはレベルと称号の2つの情報を持つ。
　　・レベルは整数値で表され、1以上100以下の範囲の値を取る。
　　・称号は以下の条件に基づいて決定される：
　　　　　１．レベルが50以上である場合は、「ハイランダー」
　　　　　２．レベルが30以上である場合は、「バーサーカー」
　　　　　３．レベルが10以上である場合は、「アドベンチャラー」
　　　　　４．上記のいずれの条件も満たさない場合は、「ビギナー」

　以下の形式でプレイヤーの進行状況を表示してください：

　「レベル: (レベルの値) 称号: (称号)」

　以下に、回答用の2つのサンプルコードと解説を示します。

＜回答例＞

<= クリックすると開きます。

＜サンプル回答①＞

　int 型の変数を使用して、レベルの情報を管理します。
その情報を利用した if 文を作成し、処理の制御をします。

　下記にサンプルコードを示します。

using UnityEngine;

public class CharacterProgress : MonoBehaviour
{
    int level = 70; // レベルの値を設定

    void Start()
    {
        string title;

        if (level >= 50)
        {
            title = "ハイランダー";
        }
        else if (level >= 30)
        {
            title = "バーサーカー";
        }
        else if (level >= 10)
        {
            title = "アドベンチャラー";
        }
        else
        {
            title = "ビギナー";
        }

        Debug.Log("レベル: " + level + " 称号: " + title);
    }
}

　このサンプルコードでは、キャラクターのレベルを level 変数で表現し、称号を title 変数で管理します。

　Start メソッド内で、条件分岐を使ってキャラクターの進行状況に応じた称号を判定し、変数 title に格納します。その後、Debug.Log を使って進行状況を表示します。

　上記のコードでは、キャラクターのレベルが 70 であるため、条件 level >= 50 を満たし、ログには「ハイランダー」という称号が表示されます。

＜サンプル回答②＞

　このサンプルコードでは、Title という列挙型を使用して称号を表現しています。

　キャラクターのレベルに応じて、if-else 文を使用して適切な称号を選択し、characterTitle 変数に格納します。
その後、characterTitle を文字列に変換して titleString に代入し、Debug.Log を使用して進行状況を表示します。

　以下にその例を示します。

using UnityEngine;

public class CharacterProgress : MonoBehaviour
{
    enum Title
    {
        Beginner,
        Adventurer,
        Berserker,
        Highlander
    }

    int level = 25; // レベルの値を設定

    void Start()
    {
        Title characterTitle;

        if (level >= 50)
        {
            characterTitle = Title.Highlander;
        }
        else if (level >= 30)
        {
            characterTitle = Title.Berserker;
        }
        else if (level >= 10)
        {
            characterTitle = Title.Adventurer;
        }
        else
        {
            characterTitle = Title.Beginner;
        }

        string titleString = characterTitle.ToString(); // Enumの値を文字列に変換

        Debug.Log("レベル: " + level + " 称号: " + titleString);
    }
}

　上記のコードでは、キャラクターのレベルが 25 であるため、条件 level >= 30 を満たし、ログには「バーサーカー」という称号が表示されます。

　この方法の利点は、Title 列挙型を使用することで、プレイヤーの進行状況を分かりやすく表現できる点です。新しい称号を追加する際にも、Title 列挙型に新しい要素を追加するだけで対応できます。

　どちらのサンプルコードも、プレイヤーの進行状況を判定し、メッセージを表示する効果的な方法です。
プロジェクトの要件や個人の好みに応じて、適切なアプローチを選択してください。

for文

　新しくスクリプトを作成して、問題にチャレンジしてください。

＜問題＞

　以下の条件に基づいて、アイテムを５つ生成し、それぞれのアイテムの名前を変更するプログラムを作成してください。
　　　・ゲームオブジェクトの名前は「アイテムA1」や「アイテムB2」といった形式で、アイテムごとに名前と番号が振られるようにしてください。
　　　・アイテムの生成には Instantiate メソッドを使用し、アイテムの情報の管理には必要なデータ構造や変数を自由に選択してください。
　　　・生成するアイテムは、同じアイテム５個でもよいです。ただし、その処理が出来たあとは、２種類以上の異なるアイテムを５つ、生成してください

　以下に、回答用の2つのサンプルコードと解説を示します。

＜回答例＞

<= クリックすると開きます。

　この問題はforループを使用して解決します。
また、敵の名前と番号を連結させて表示するために文字列連結を使用します。

＜サンプル回答①＞

　forループを利用したシンプルなケースです。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    public GameObject itemPrefabA; // アイテムAのプレハブをインスペクタから割り当て
    public GameObject itemPrefabB; // アイテムBのプレハブをインスペクタから割り当て

    void Start()
    {
        for (int i = 1; i <= 5; i++)
        {
            string itemName = "アイテム" + ((char)(i + 64)) + i;
            GameObject newItem;

            if (i % 2 == 0)
            {
                newItem = Instantiate(itemPrefabB);
            }
            else
            {
                newItem = Instantiate(itemPrefabA);
            }

            newItem.name = itemName;
        }
    }
}

　このコードでは、Instantiate メソッドを使用してアイテムを生成し、それぞれのアイテムの名前を変更しています。
アイテムのプレハブは itemPrefabA と itemPrefabB という公開変数でインスペクタから割り当てることができます。

　まず最初に、(char)(i + 64) というキャスト処理は、整数値を文字に変換するための処理です。
ASCIIコードにおいて、大文字のアルファベットは65から始まります。
この処理では、数値 i に 64 を加算することで、対応する文字のASCIIコードを生成します。その後、char によって整数を文字に変換しています。

　具体的な例を挙げると、i の値が 1 の場合、(char)(i + 64) の結果は (char)(1 + 64) であり、計算結果は 65 になります。
ASCIIコード上では 65 は大文字の 'A' に対応しています。そのため、"アイテム" + (char)(i + 64) + i の結果は "アイテムA1" となります。

　このように、キャスト処理を使用することで整数値を文字に変換し、文字列を構築しています。

　名前の準備が出来たので、次に for ループを使用して 1 から 5 までの数値を順に取り出します。
その数値 (i) を使ってアイテムの番号を作成し、itemName という変数に格納しています。

　偶数回目のループでは itemPrefabB のプレハブを使用し、奇数回目のループでは itemPrefabA のプレハブを使用してアイテムを生成します。

　生成されたアイテムの名前は newItem.name を使って変更されます。

＜サンプル回答②＞

　他にも、列挙型(Enum)を使ってそれぞれの状況を表現することも可能です。
列挙型とforループを組み合わせたケースはこのようになります。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    enum ItemType
    {
        ItemA,
        ItemB
    }

    public GameObject itemPrefabA; // アイテムAのプレハブをインスペクタから割り当て
    public GameObject itemPrefabB; // アイテムBのプレハブをインスペクタから割り当て

　　void Start()
　　{
　　    for (int i = 1; i <= 5; i++)
　　    {
  　　      string itemName = ItemType.ItemA.ToString() + i;
   　　     GameObject newItem;

  　　      if (i % 2 == 0)
   　　     {
   　　         newItem = Instantiate(itemPrefabB);
   　　     }
   　　     else
   　　     {
     　　       newItem = Instantiate(itemPrefabA);
      　　  }

      　　  newItem.name = itemName;
　　　　}
    }
}

　このコードでは、`Instantiate` メソッドを使用してアイテムを生成し、それぞれのアイテムの名前を変更しています。
アイテムのプレハブは `itemPrefabA` と `itemPrefabB` という公開変数でインスペクタから割り当てることができます。

　forループを使用して1から5までの数値を順に取り出し、その数値（i）を使ってアイテムの番号を作成し、`itemName` という変数に格納しています。
偶数回目のループでは `itemPrefabB` のプレハブを使用し、奇数回目のループでは `itemPrefabA` のプレハブを使用してアイテムを生成します。

　生成されたアイテムの名前は `newItem.name` を使って変更されます。

　これにより、アイテムの生成と名前の変更が行われ、生成されたアイテムの名前が期待通りになります。

配列

　新しくスクリプトを作成して、問題にチャレンジしてください。

＜問題＞

　「モンスター」という名前の敵を3体生成する機能を作成してください。
　　　・生成される敵の名前は、「モンスター1」「モンスター2」「モンスター3」としてください。
　　　・なお、実際に Instantiate メソッドを使用する必要はありませんが、生成しても問題ありません。

　変更後の結果をコンソールに表示してください。表示対象は、配列の値すべてです。表示する際の方法は自由です。

　以下に、回答用の2つのサンプルコードと解説を示します。

＜回答例＞

<= クリックすると開きます。

＜サンプル回答①＞

　配列による管理とアクセスの問題です。
正しい管理の方法と、指定した要素の変更が重要です。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        // 敵の名前を管理するための配列を作成
        string[] enemies = new string[3];

        // 敵の名前を生成して配列に格納
        for (int i = 0; i < enemies.Length; i++)
        {
            enemies[i] = "モンスター" + (i + 1);
        }

        // 配列の要素をコンソールに表示
        for (int i = 0; i < enemies.Length; i++)
        {
            Debug.Log(enemies[i]);
        }
    }
}

　このコードでは、enemies という名前の string 型の配列を作成しています。
その後、for ループを使用して敵の名前を生成し、配列に格納しています。
名前の生成は、ループ変数 i を使用して、「モンスター1」「モンスター2」「モンスター3」といった形式で行われます。

　最後に、もう一度 for ループを使用して配列の要素をコンソールに表示しています。

＜サンプル回答②＞

　ログの出力に関しては、foreach 文でも同様の処理を行うことが出来ます。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        // 敵の名前を管理するための配列を作成し、初期値を設定
        string[] enemies = { "モンスター1", "モンスター2", "モンスター3" };

        // 配列の要素をコンソールに表示
        foreach (string enemy in enemies)
        {
            Debug.Log(enemy);
        }
    }
}

　このコードも最初の例と同じ動作をしますが、配列の宣言時に初期値を指定しています。
その後、foreach ループを使用して配列の要素を順に取り出し、コンソールに表示しています。

　foreachループは、配列やリストなどのコレクションのすべての要素を順に取り出すためのループです。
この例では、magics配列のすべての要素（magic）を順に取り出し、それをコンソールに出力します。

　この方法は、配列の要素数を事前に知る必要がないため、配列の全要素に対する処理を行う際にはより直感的で便利な場合があります。

　どちらのサンプルコードでも、敵の名前を管理するための string 型の配列を使用しており、要素の生成や表示にはループが活用されています。

メソッドを使った複合文

　学習してきた処理を活用しましょう。

＜問題＞

　制御文とwhile文をそれぞれメソッド化してください。

　　・冒険者がダンジョンに進入する条件を1つ作成し、その条件をStartメソッドの中で判定し、条件に合致した場合には制御文のメソッドを呼び出すようにしてください。

　　・トレジャーボックスを見つける条件を1つ作成し、その条件をStartメソッドの中で判定し、条件に合致した場合にはwhile文のメソッドを呼び出すようにしてください。

　　・新しくメソッドを1つ作成し、トレジャーボックスを開いた場合にはこのメソッドを呼び出せるようにしてください。
　　　このメソッドの中では配列の値である「ヒーリングポーション」を「マナポーション」に変更してください。

　以下に、回答用の2つのサンプルコードと解説を示します。

＜回答例＞

<= クリックすると開きます。

＜サンプル回答①＞

using UnityEngine;

public class DungeonAdventure : MonoBehaviour
{
　　// 制御文をメソッド化
　　bool IsDungeonEntryPossible(int playerLevel)
　　{
　　　　if (playerLevel >= 5) // プレイヤーレベルが5以上の場合
　　　　{
　　　　　　Debug.Log("ダンジョンへの進入許可。冒険開始");
　　　　　　return true;
　　　　}
　　　　else // プレイヤーレベルが5未満の場合
　　　　{
　　　　　　Debug.Log("レベル不足。ダンジョンへ進入不可");
　　　　　　return false;
　　　　}
　　}

　　// while文をメソッド化
　　void FindTreasure(int boxesCount)
　　{
    　　int i = 0;
   　　 while (i < boxesCount)
 　　   {
  　　      Debug.Log($"宝箱{i+1}を見つけた");
 　　       i++;
 　　   }
　　}

　　// 配列の値を変更するメソッド
　　void ChangePotion(ref string[] inventory)
　　{
    　　for (int i = 0; i < inventory.Length; i++)
    　　{
   　　     if (inventory[i] == "ヒーリングポーション") // "ヒーリングポーション"を"マナポーション"に変更
   　　     {
    　　        inventory[i] = "マナポーション";
    　　        Debug.Log($"アイテム変更: {inventory[i]}");
  　　      }
  　　  }
　　}

　　void Start()
　　{
   　　 int playerLevel = 6; // プレイヤーレベル
   　　 int boxesCount = 3; // ダンジョンに存在する宝箱の数
    　　string[] inventory = { "ヒーリングポーション", "スタミナポーション", "無効化ポーション" }; // プレイヤーのインベントリ

 　　   // 制御文のメソッドを呼び出す
 　　   if (IsDungeonEntryPossible(playerLevel))
 　　   {
  　　      // トレジャーボックスを見つけるメソッドを呼び出す
   　　     FindTreasure(boxesCount);

    　　    // トレジャーボックスを開いた場合、ポーションを変更するメソッドを呼び出す
    　　    ChangePotion(ref inventory);
   　　 }
　　}
}

　このコードでは、制御文、while文、配列の操作それぞれの操作を独自のメソッドに分けています。

　具体的には、IsDungeonEntryPossibleメソッドでは、冒険者がダンジョンに進入可能かどうかを判断しています。
プレイヤーレベルが5以上ならば、ダンジョンに進入可能と判断します。

　FindTreasureメソッドでは、指定された数だけ宝箱を見つけることをシミュレートしています。
while文を使って、宝箱を1つずつ見つけ、それぞれの宝箱についてメッセージを表示します。

　ChangePotionメソッドでは、冒険者のインベントリ内のアイテムをチェックし、「ヒーリングポーション」がある場合、それを「マナポーション」に変更します。

　そして、Startメソッドの中でこれらのメソッドを適切に呼び出します。
まず、冒険者のレベルがダンジョンに進入可能なレベルかどうかをチェックし、
進入可能であれば、宝箱を見つけるメソッドとポーションを変更するメソッドを呼び出します。

＜サンプル回答②＞

using UnityEngine;

public class DungeonAdventure : MonoBehaviour
{
　　// 制御文をメソッド化
　　bool IsDungeonEntryPossible(int playerHealth)
　　{
　　　　if (playerHealth > 50) // プレイヤーの体力が50以上の場合
　　　　{
　　　　　　Debug.Log("体力十分。ダンジョンへ進入可能");
　　　　　　return true;
　　　　}
　　　　else // プレイヤーの体力が50未満の場合
　　　　{
　　　　　　Debug.Log("体力不足。ダンジョンへ進入不可");
　　　　　　return false;
　　　　}
　　}

　　// while文をメソッド化
　　void SearchTreasure(int treasureCount)
　　{
  　　  int i = 0;
   　　 while (i < treasureCount)
   　　 {
    　　    Debug.Log($"トレジャーボックス{i+1}を発見");
       　　 i++;
   　　 }
　　}

　　// 配列の値を変更するメソッド
　　void UpgradePotion(ref string[] inventory)
　　{
    　　for (int i = 0; i < inventory.Length; i++)
    　　{
    　　    if (inventory[i] == "ヒーリングポーション") // "ヒーリングポーション"を"マナポーション"に変更
    　　    {
     　　       inventory[i] = "マナポーション";
    　　        Debug.Log($"アイテム強化: {inventory[i]}");
     　　   }
    　　}
　　}

　　void Start()
　　{
 　　   int playerHealth = 55; // プレイヤーの体力
 　　   int treasureCount = 4; // ダンジョン内のトレジャーボックス数

　　　　string[] inventory = { "ヒーリングポーション", "アンチドート", "ポイズンボトル" }; // プレイヤーのインベントリ


   　　 // 制御文のメソッドを呼び出す
  　　  if (IsDungeonEntryPossible(playerHealth))
  　　  {
 　　       // トレジャーボックスを探索するメソッドを呼び出す
  　　      SearchTreasure(treasureCount);

  　　      // トレジャーボックスを見つけた場合、ポーションを強化するメソッドを呼び出す
 　　       UpgradePotion(ref inventory);
 　　   }
　　}
}

　このコードでも、制御文、while文、配列の操作を独自のメソッドに分けています。

　具体的には、IsDungeonEntryPossibleメソッドでは、プレイヤーの体力がダンジョンに進入可能な状態かどうかを判断しています。
体力が50以上であれば、進入が可能と判断します。

　SearchTreasureメソッドでは、指定された数だけトレジャーボックスを探索し、それぞれのボックスについてメッセージを表示します。

　UpgradePotionメソッドでは、冒険者のインベントリ内のアイテムをチェックし、「ヒーリングポーション」がある場合、それを「マナポーション」に強化します。

　そして、Startメソッドの中でこれらのメソッドを適切に呼び出します。
まず、プレイヤーの体力がダンジョンに進入可能な状態かどうかを判断し、体力が十分な場合には、トレジャーボックスを探索するメソッドとポーションを強化するメソッドを呼び出します。

　以上のように、各種の処理をそれぞれメソッド化することで、コードの可読性と再利用性を向上させることができます。

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