パーティメンバーからリーダーを切り替えて操作できるようにする

設計

前提としまして、【複数用意したプレイヤーキャラクターをボタンで変更する】という教材を終了している必要があります。

もしも終了していない場合には、クラスを作成しつつ、記事を抜粋しながら処理を実装していってください。

　プレイヤーキャラクター(以下、キャラ)を複数用意して、中央の位置（リーダーの位置）に選択されたキャラを配置し、操作できるようにします。

実装動画
https://gyazo.com/d61e06af574480dc367b7f7de86c0f25

　この教材では、キャラのまとまりをパーティ、パーティ内のキャラをメンバー、メンバーの中で操作できるキャラをリーダーと定義します。
　また、リーダー以外のキャラをリーダーキャラに追従させる処理は含まれていません。

　ヒエラルキー上、あるいはゲームの実行と同時にキャラを生成し、複数のキャラをゲーム内に用意します。
これらをメンバーとして管理する変数をChangeCharactersクラスに用意しておきます。

　リーダーとなるキャラはGameDataに用意してあるcurrentCharaNumber 変数をそのまま適用します。

　リーダー変更ボタンを用意し、押すとcurrentCharaNumberの値が1つ増えるようにしておきます。
そしてこの値を次のリーダーの番号として利用します。(使用キャラ = リーダーキャラの図式の方が分かりやすいためです。)

　流れとすると、以下のようになります。

リーダー変更ボタンを押す　=>　GameDateのcurrentCharaNumberが変更される　=>　変更された値を用いてChangeCharactersクラスのリーダー変更メソッドを処理する　=> カメラの追従対象を変更するメソッドを処理する

実装手順と技術

　以下の順番で実装を行います。クラスそのものがない場合には、前の記事を参考にしながら作成をしてください。
なお書いてはありませんが、Canvas内にリーダー変更用のボタンを１つ作成し、適宜な位置に配置しておいてください。

１．ChangeCharactersクラスを修正する。
２．MainCameraControllerクラスを修正する。
３．UIManagerクラスを修正する。

　処理の全体的な流れは先ほど提示させて頂いた通りです。基本的には、前回学習した内容の応用です。
学習できる技術としましては、以下の通りです。

・配列のディープコピー

１．ChangeCharactersクラスを修正する。

　パーティメンバー管理用の変数を新しく配列で用意します。またStartメソッドを修正して、キャラを追従するカメラの位置を設定します。(そのため、カメラのStartでの設定処理を廃止します。)
またリーダー変更用のメソッドを用意し、ボタンが押されたときに呼ばれるようにします。

ChangeCharacters.cs

using System;
using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;

public class ChangeCharacters : MonoBehaviour
{
    public MainCameraController mainCameraController;

    public float waitTime;

    public PlayerBase[] teamMenber;　　　　// <= ☆　追加　メンバーを登録する。事前にインスペクターからアサインできず、ゲーム中に動的に追加する場合にはタグで検索して追加する

    private void Start() {
        // インスペクターからアサインせずに、ゲーム開始時に動的にタグを使って複数のPlayerを探す場合
        //// ヒエラルキー上の"Player"Tagを持つゲームオブジェクトをすべて探して、配列変数に代入
        //GameObject[] findMenbers = GameObject.FindGameObjectsWithTag("Player");

        //// もしもPlayerが１つ以上見つかったら
        //if (findMenbers.Length > 0) {
　　　　//　　// teamMenberを見つかったPlayerの数に合わせて初期化
        //    teamMenber = new PlayerBase[findMenbers.Length];

        //    for (int i = 0; i < findMenbers.Length; i++) {
        //        // 見つかったPlayerの持つPlayerBaseクラスを１つずつ配列変数に代入
        //        teamMenber[i] = findMenbers[i].GetComponent<PlayerBase>();
        //    }
        //}

        // カメラにキャラをセット
        if (teamMenber.Length > 0) {
            // チームの場合(Playerタグで検索すると複数ヒットするため、指定する)
            mainCameraController.SetUpChara(teamMenber[0].gameObject);
        } else {
            // 一人の場合
            mainCameraController.SetUpChara(GameObject.FindGameObjectWithTag("Player"));
        }
    }

　　(省略)

////* 以下のメソッドを追加 *////

    /// <summary>
    /// リーダー変更(送り順で変更)
    /// </summary>
    public void ChangeLeader() {         // 引数を用意すると１つのメソッドでリーダー変更の送り、戻り処理が可能
        // 選択中のキャラの番号を増減する
        GameData.instance.currentCharaNumber++;  // GameData.instance.currentCharaNumber--;

        // キャラ変更できる最大値と最小値を確認
        if (GameData.instance.currentCharaNumber >= teamMenber.Length) {
            // 最大値を超えたら0にする
            GameData.instance.currentCharaNumber = 0;
        } else if (GameData.instance.currentCharaNumber < 0) {
            // 最小値を下回ったら最大値にする
            GameData.instance.currentCharaNumber = teamMenber.Length - 1;
        }

        // Leaderの番号を設定
        int leaderNum = 1;

        // キャラと位置情報用の配列を用意
        PlayerBase[] currentOrder = new PlayerBase[teamMenber.Length];
        Vector3[] currentPos = new Vector3[teamMenber.Length];

        // 位置情報の参照を配列に代入(これはシャローコピー)
        for (int i = 0; i < teamMenber.Length; i++) {
            currentPos[i] = teamMenber[i].transform.position;
        }

        // ディープコピー用の配列を用意
        Vector3[] newPos = new Vector3[teamMenber.Length];

        // 配列の中身をディープコピー(現在の並び順で全キャラと位置情報を配列に値をディープコピーする)
        Array.Copy(teamMenber, currentOrder, teamMenber.Length);
        Array.Copy(currentPos, newPos, teamMenber.Length);

        // ディープコピーした情報のDebug用
        for (int i = 0; i < currentOrder.Length; i++) {
            Debug.Log(currentOrder[i].name);
            Debug.Log(newPos[i]);
        }

        // 現在の並び順を新しい並び順に変更する
        for (int i = 0; i < teamMenber.Length; i++) {
            // 並び順を変更。teamMenber[0]がリーダー。(ディープコピーした値を使わないと正常なキャラ情報を得られない)
            teamMenber[i] = currentOrder[leaderNum];

            // キャラの位置を変更(ディープコピーした値を使わないと正常な位置に配置されない)
            teamMenber[i].transform.position = newPos[i];

            Debug.Log(teamMenber[i].transform.position);

            leaderNum++;  // leaderNum--;

            //キャラ変更できる最大値と最小値を確認
            if (leaderNum >= teamMenber.Length) {
                // 最大値を超えたら0にする
                leaderNum = 0;
            } else if (leaderNum < 0) {
                // 最小値を下回ったら最大値にする
                leaderNum = teamMenber.Length - 1;
            }
        }

        // リーダーを使用中のキャラに設定
        GameData.instance.currentChara = teamMenber[0];

        // 操作キャラの以外のボタン入力などを切る処理を追加する。そうしないと全キャラ同時に動く
        for (int i = 0; i < teamMenber.Length; i++) {
            // TODO この方法は１つのやり方です。PlayerBaseクラスにbool型を用意して、それで判断させてもよいと思います
            if (i == 0) {
                // リーダーの場合、操作できるようにする
                teamMenber[i].enabled = true;
            } else {
                // リーダー以外の場合、操作できなくする
                teamMenber[i].enabled = false;
            }
        }

        // カメラにリーダーキャラを設定
        mainCameraController.SetUpChara(teamMenber[0].gameObject);
    }
    }

////* ここまで追加 *////

}

　ヒエラルキー上にメンバーとなるキャラが存在している場合には、そのキャラをteamMenber変数にすべて登録してください。
事前に登録しないでゲーム実行と同時に探す場合にはStartメソッドのコメントアウトしている部分を使ってください。

　画像は事前に登録しているものです。

＜シャローコピーとディープコピー＞

　配列などの情報はクラスとして扱われます。そのため、イコール(a[i] = b[i])での処理は、コピーされた値ではなく、参照された値がコピーされます。
これはシャローコピーといって、参照している元の値に合わせて変化する値になります。上記の例でいえば、b[i]の値が変わると、それに合わせてa[i]の値も変化してしまいます。

　今回実装したい処理の中には、シャローコピーしていたのでは実現できない処理がありました。それはキャラの情報と、直前の位置情報の２つです。

　新しい情報が上書きされると同時に、参照元である値も変化してしまうため、こういった場合にはシャローコピーでは対処が出来ません。

　そのため、ディープコピーという機能を利用します。こちらは、参照ではなくて、参照元の情報を構造を含めて完全にコピーをする方法です。
この方法ですと値は参照型ではなく、この値自体を変化させない限りは、新しい情報として保持することが出来ます。
つまり、b[i]の値が変化したとしても、ディープコピーして作成したa[i]はその値を参照することがなくなりますので、コピーしたときの情報を保持しています。

　この配列のディープコピーの機能を利用して、キャラの情報や位置情報を保持することで、前にいたリーダーと同じ位置に次のリーダーも配置することが可能になっています。

　ディープコピーについては、こちらの記事も参考にしてみてください。

侍エンジニア塾
【C#入門】配列をコピーする方法(一部の範囲指定、高速コピーも解説)
https://www.sejuku.net/blog/40212

２．MainCameraControllerクラスを修正する。

　【１】でも述べましたように、Startメソッドでのキャラとカメラの位置の設定を廃止しています。

　代わりに、SetUpCharaメソッドにoffsetを設定する処理を追加しています。これにより、リーダーの変更があった場合にも、次のリーダーとのoffsetを設定しなおすことで
以前のリーダーの位置と同じ地点でカメラを設置することが出来ています。

MainCameraController.cs

using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;

public class MainCameraController : MonoBehaviour
{
    private GameObject chara;

    private Vector3 offset;

    // ChangeCharactersクラスで初期設定しますので、コメントアウトして処理が確認できましたらStartメソッドごと削除してください。
    //void Start() {
    //    chara = GameObject.FindGameObjectWithTag("Player");
    //    offset = transform.position - chara.transform.position;
    //}

    void Update()
    {
        if (chara != null) {
            this.transform.position = chara.transform.position + offset;
        }
    }

    /// <summary>
    /// キャラの情報をセットする
    /// </summary>
    /// <param name="gameObject"></param>
    public void SetUpChara(GameObject gameObject) {
        // 追従するキャラを登録
        chara = gameObject;
       
        // 新しいキャラとカメラの距離を設定
        offset = transform.position - chara.transform.position;　　　// ☆　追加
    }
}

３．UIManagerクラスを修正する。

　リーダー変更ボタンが追加されましたので、ボタンコンポーネント用の変数を作成しています。
こちらに、ボタンが押された際、リーダー変更処理を呼び出すためのOnClickLeaderChangeメソッドを登録しています。　

UIManager.cs

using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;
using UnityEngine.UI;

public class UIManager : MonoBehaviour
{
　　public Button btnLeaderChange;　　　　　　　　　　　　　　　　　 <= ☆　追加

    void Start() {

        (省略)

        // リーダー変更ボタンにメソッドを登録
        btnLeaderChange.onClick.AddListener(OnClickLeaderChange);    <= ☆　追加
    }

    (省略)

////* 以下のメソッドを追加 *////

    /// <summary>
    /// リーダー変更ボタンを押した際の処理
    /// </summary>
    private void OnClickLeaderChange() {
        // TODO ボタンを２つ用意するのであれば、InactivateCharaChangeButtonsのようなボタン制御処理を用意した方がよいです

        // リーダー変更
        changeCharacters.ChangeLeader();
    }

////* ここまで追加 *////

}

　スクリプトの修正が終了したらUIManagerゲームオブジェクトのインスペクターを確認します。Buttonコンポーネントのアサイン情報が追加されていますので
リーダー変更ボタンをヒエラルキーからドラッグアンドドロップしてアサインしてください。

　以上で終了です。ゲームを実行して参考動画のようになれば完成です。
デバッグ内容としましては、リーダー変更の処理、カメラの位置がリーダーに追従、リーダーだけ操作できる、という部分を確認してください。

応用　リーダーの切替ボタンを２つにする

　
　現在はリーダー変更ボタンが１つですので、リーダーの順番を送ることでしか変更ができません。
これをボタンを２つにして、キャラ変更と同じように、リーダーの順番の送ったり、戻したりして変更できるようにしてみましょう。

　ChangeCharactersクラス内のコメントにヒントがありますので、参考にしてながら実装をしてみてください。

ディープコピー参考サイト

memberwiseclone
https://docs.microsoft.com/ja-jp/dotnet/api/system...

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