基礎構文の復習１

　新規、あるいは製作途中のプロジェクトの中で新しいSceneを１つ作成します。（Project内でメニューを表示し、Create => Scene で作成できます）。
名前はTestとしてください。

　作成したTestシーンをダブルクリックしてシーンをTestシーンに切り替えます。

　ヒエラルキー上にてメニューを表示し、Create Empty を選択して、空のゲームオブジェクトを１つ作成してください。
名前はDebugにしてください。

　Project内にてメニューを表示し、Create => C# Script を選択し、名前をScriptTest_0としてください。
各問題ごとに ScriptTest を作成しておくようにし、最後の数字を順番にScriptTest_1、ScriptTest_2 と変えて作っていきましょう。

動画ファイルへのリンク

　作成したスクリプトは、先ほど作成したDebugゲームオブジェクトにアタッチして動作検証してください。

　それでは練習を始めましょう。

　各問題には回答のサンプルを用意してありますが、まずは、力試しをすることが大切です。
１人でがんばって考えてみてください。

制御文

　以下の問題に対して、ScriptTestにソースコードを書いて、正常に動作することを検証してください。

＜問題＞

ロンバルディアというアイテムAと、ファイアクレストというアイテムBがあります。

アイテムAを持っている場合にはボスと戦い、アイテムBというアイテムを持っている場合にはボスを倒せるようにしてください。

それぞれの結果を、「AもBも所持していない。ボス戦なし」「Aを所持。ボス戦開始」「AとBを所持。ボス討伐」という形で、コンソールに表示してください。

アイテムを持っている情報の管理には、どの型を使ってもかまいません。

<= クリックすると開きます。

＜サンプル回答①＞

　bool型の変数を使用して、アイテムの所持情報を管理します。
その情報を利用した if 文を作成し、処理の制御をします。

　下記にサンプルコードを示します。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    // プレイヤーがアイテムAとBを持っているかどうかをbool型で管理
    bool hasItemA = false; // アイテムA: ロンバルディア
    bool hasItemB = false; // アイテムB: ファイアクレスト

    void Start()
    {
        // アイテムの所持状況に応じて対応するメッセージを表示
        if (!hasItemA && !hasItemB)
        {
            Debug.Log("AもBも所持していない。ボス戦なし");
        }
        else if (hasItemA && !hasItemB)
        {
            Debug.Log("Aを所持。ボス戦開始");
        }
        else if (hasItemA && hasItemB)
        {
            Debug.Log("AとBを所持。ボス討伐");
        }
    }
}

　このコードでは、hasItemA と hasItemB という2つのbool型の変数を用いて、
アイテムA（ロンバルディア）とアイテムB（ファイアクレスト）をプレイヤーが所持しているかどうかを管理しています。
変数名は任意です。

　Start メソッドでは、これら2つのアイテムの所持状況をチェックし、それに応じて3つの異なるメッセージをコンソールに表示します。

　アイテムAとBを両方とも所持していない場合、AもBも所持していない。ボス戦なしと表示します。
　アイテムAのみを所持している場合、Aを所持。ボス戦開始と表示します。
　アイテムAとBを両方とも所持している場合、AとBを所持。ボス討伐と表示します。

　注意すべき点は、bool型の変数が初期化されていない場合、デフォルト値は false（つまり、アイテムを所持していない状態）となります。
この部分を理解した上で動作の検証を行うようにしましょう。

＜サンプル回答②＞

　他にも、列挙型(Enum)を使ってそれぞれの状況を表現することも可能です。
列挙型とswitch文を組み合わせるとコードが読みやすくなることがあります。

　以下にその例を示します。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    // プレイヤーの状態を表現する列挙型
    enum PlayerState
    {
        NoItems, // アイテムを一つも持っていない状態
        HasItemA, // アイテムAのみを持っている状態
        HasItemAAndB, // アイテムAとB両方を持っている状態
    }

    PlayerState currentState = PlayerState.NoItems; // 初期状態を設定

    void Start()
    {
        // 現在のプレイヤーの状態に応じてメッセージを表示
        switch(currentState)
        {
            case PlayerState.NoItems:
                Debug.Log("AもBも所持していない。ボス戦なし");
                break;
            case PlayerState.HasItemA:
                Debug.Log("Aを所持。ボス戦開始");
                break;
            case PlayerState.HasItemAAndB:
                Debug.Log("AとBを所持。ボス討伐");
                break;
        }
    }
}

　このコードでは、PlayerStateという列挙型を定義しています。
この列挙型には、プレイヤーがアイテムを一つも持っていない状態（NoItems）、
アイテムAのみを持っている状態（HasItemA）、そしてアイテムAとB両方を持っている状態（HasItemAAndB）という3つの状態を表現しています。

　Startメソッド内でswitch文を用いて現在のプレイヤーの状態をチェックし、それぞれの状態に応じて適切なメッセージをコンソールに出力します。

　このアプローチのメリットは、プログラムのロジックが非常に明快になる点です。
プレイヤーの状態が何であるかを一目で理解でき、また新たな状態を追加するのも容易です。

　ただし、アイテムの数や種類が増えてくると管理が複雑になる可能性があるため、
そのような場合は別のデータ構造（例えば、辞書型など）を使用することを検討すると良いでしょう。

for文

　新しくスクリプトを作成して、問題にチャレンジしてください。

＜問題＞

ゴブリンという名前の敵Cを5体出現させる機能を作成してください。

ただし、実際に Instantiate メソッドを使う必要はありません。
それぞれの出現結果を「敵C１」や「ゴブリン１」のように、同じ敵Cでも番号が振られるようにして、コンソールに表示してください。

敵の情報の管理には、どの型を使ってもかまいません。

<= クリックすると開きます。

　この問題はforループを使用して解決します。
また、敵の名前と番号を連結させて表示するために文字列連結を使用します。

＜サンプル回答①＞

　forループを利用したシンプルなケースです。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        // 敵C (ゴブリン) を5体出現させる
        for (int i = 1; i <= 5; i++)
        {
            // iの値（1～5）を使ってゴブリンの番号を付け、それをコンソールに表示する
            Debug.Log("敵C" + i); // "敵C1"、"敵C2"、...、"敵C5"と出力される
        }
    }
}

　このコードでは、forループを使って1から5までの数値を順に取り出し、
その数値（i）を使ってゴブリンの番号を作成しています。

　例えば、iが1の場合は"敵C1"と表示され、iが2の場合は"敵C2"と表示されます。

＜サンプル回答②＞

　他にも、列挙型(Enum)を使ってそれぞれの状況を表現することも可能です。
列挙型とforループを組み合わせたケースはこのようになります。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    // 敵の種類を表現する列挙型
    enum EnemyType
    {
        Goblin // ゴブリン
    }

    void Start()
    {
        // 敵C (ゴブリン) を5体出現させる
        for (int i = 1; i <= 5; i++)
        {
            // iの値（1～5）を使ってゴブリンの番号を付け、それをコンソールに表示する
            Debug.Log(EnemyType.Goblin + " " + i); // "Goblin 1"、"Goblin 2"、...、"Goblin 5"と出力される
        }
    }
}

　このコードでは、ゴブリンを表すために列挙型（EnemyType.Goblin）を使用しています。
それ以外の部分は前の例と同様にforループを使って1から5までの数値を取り出し、その数値（i）を使ってゴブリンの番号を作成しています。

　C#では、+ 演算子を使って文字列と他の型（例えば、整数、浮動小数点数、bool値、列挙型など）を連結すると、
その他の型は自動的に文字列に変換されます。これは ToString メソッドが内部的に呼び出されるためです。

　したがって、以下のコードは

Debug.Log(EnemyType.Goblin + " " + i);

　以下のコードと同じ結果を出力します。

Debug.Log(EnemyType.Goblin.ToString() + " " + i.ToString());

　そのため Enum の列挙子の値と int の値には ToString メソッドがありませんが、自動的に文字として変換されて利用されています。

　こういった記法についても学習していくと、効率のよい処理を書くことが出来るようになります。

配列

　新しくスクリプトを作成して、問題にチャレンジしてください。

＜問題＞

取得している魔法を管理するために、string型の配列を作成し、値として「ペトロクラウド」「サンダーフレア」「イクソシズム」を持たせてください。

そのあとで、「イクソシズム」を値を「スターティアラ」に変更してください。

変更後の結果をコンソールに表示してください。表示対象は、配列の値すべてです。表示する際の方法は自由です。

<= クリックすると開きます。

＜サンプル回答①＞

　配列による管理とアクセスの問題です。
正しい管理の方法と、指定した要素の変更が重要です。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        // string型の配列を作成し、魔法の名前を初期値として設定
        string[] magics = { "ペトロクラウド", "サンダーフレア", "イクソシズム" };

        // "イクソシズム"を"スターティアラ"に変更
        magics[2] = "スターティアラ";

        // 配列のすべての要素をコンソールに表示
        for (int i = 0; i < magics.Length; i++)
        {
            Debug.Log(magics[i]);
        }
    }
}

　このコードでは、まずstring型の配列magicsを作成し、その初期値として魔法の名前を設定しています。
次に、配列の3つ目の要素（0から数えて2番目の要素）を"スターティアラ"に変更します。

　最後に、forループを使って配列のすべての要素をコンソールに出力します。

＜サンプル回答②＞

　ログの出力に関しては、foreach 文でも同様の処理を行うことが出来ます。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    void Start()
    {
        // string型の配列を作成し、魔法の名前を初期値として設定
        string[] magics = { "ペトロクラウド", "サンダーフレア", "イクソシズム" };

        // "イクソシズム"を"スターティアラ"に変更
        magics[2] = "スターティアラ";

        // 配列のすべての要素をコンソールに表示
        foreach (string magic in magics)
        {
            Debug.Log(magic);
        }
    }
}

　このコードも最初の例と同じ動作をしますが、配列のすべての要素を表示するためにforeachループを使っています。

　foreachループは、配列やリストなどのコレクションのすべての要素を順に取り出すためのループです。
この例では、magics配列のすべての要素（magic）を順に取り出し、それをコンソールに出力します。

　この方法は、配列の要素数を事前に知る必要がないため、配列の全要素に対する処理を行う際にはより直感的で便利な場合があります。

＜サンプル回答③＞

　string 型の配列によって管理ができるようになったら、文字の打ち間違えを防止するため、enum でも同様の処理を作成してみましょう。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    // 魔法の種類を表現する列挙型
    enum MagicType
    {
        ペトロクラウド,
        サンダーフレア,
        イクソシズム,
        スターティアラ  // 最初から登録しておく
    }

    void Start()
    {
        // MagicType型の配列を作成し、魔法の種類を初期値として設定
        MagicType[] magics = { MagicType.ペトロクラウド, MagicType.サンダーフレア, MagicType.イクソシズム };

        // "イクソシズム"を"スターティアラ"に変更
        magics[2] = MagicType.スターティアラ;

        // 配列のすべての要素をコンソールに表示
        for (int i = 0; i < magics.Length; i++)
        {
            Debug.Log(magics[i]);
        }
    }
}

　このコードでは、最初からMagicType列挙型にスターティアラを含めています。
そのため、配列magicsの要素をスターティアラに変更する部分で新たにMagicTypeを定義する必要はありません。

　最後にforループを使って、配列の各要素をコンソールに表示しています。
配列magicsの各要素はMagicType型ですが、Debug.Logメソッドがその値を自動的に文字列に変換して出力します。

メソッドを使った複合文

　先ほど書いた処理を活用しましょう。
新しくスクリプトを作成後、まずは、再度、制御文、for文、配列の処理を書いてください。

＜問題＞

　制御文とfor文を、それぞれメソッド化してください。

　　・ボス戦を行う条件を１つ作成し、その条件をStartメソッドの中で判定し、条件に合致した場合には制御文のメソッドを呼び出すようにしてください。

　　・敵が出現する条件を１つ作成し、その条件をStartメソッドの中で判定し、条件に合致した場合にはfor文のメソッドを呼び出すようにしてください。

　　・新しくメソッドを１つ作成し、ボスを倒した場合にはこのメソッドを呼び出せるようにしてください。
　　　このメソッドの中では配列の値である「ペトロクラウド」を「テンペスト」に変更してください。

<= クリックすると開きます。

＜サンプル回答①＞

　こちらの例では、いままで学習してきた内容を応用し、アイテムの状況に応じて分岐を作っています。

using UnityEngine;

public class ScriptTest : MonoBehaviour
{
    // 制御文をメソッド化
    bool IsBattleStart(bool hasItemA, bool hasItemB)
    {
        if (hasItemA && !hasItemB) // アイテムAを持っており、アイテムBを持っていない場合
        {
            Debug.Log("Aを所持。ボス戦開始");
            return true;
        }
        else if (hasItemA && hasItemB) // アイテムAとアイテムBを両方持っている場合
        {
            Debug.Log("AとBを所持。ボス討伐");
            return true;
        }
        else // アイテムAもアイテムBも持っていない場合
        {
            Debug.Log("AもBも所持していない。ボス戦なし");
            return false;
        }
    }

    // for文をメソッド化
    void SpawnEnemies(int enemyCount)
    {
        for (int i = 1; i <= enemyCount; i++)
        {
            Debug.Log($"敵C{i}"); // 敵の名前と番号を表示
        }
    }

    // 配列の値を変更するメソッド
    void ChangeMagic(ref string[] magics)
    {
        for (int i = 0; i < magics.Length; i++)
        {
            if (magics[i] == "ペトロクラウド") // "ペトロクラウド"を"テンペスト"に変更
            {
                magics[i] = "テンペスト";
            }
        }
    }

    void Start()
    {
        // 制御文のメソッドを呼び出す条件
        bool hasItemA = true; // アイテムAを持っているかどうか
        bool hasItemB = false; // アイテムBを持っているかどうか

        // 制御文のメソッドを呼び出す
        if (IsBattleStart(hasItemA, hasItemB))
        {
            // ボス戦が開始された場合、配列の値を変更するメソッドを呼び出す
            string[] magics = { "ペトロクラウド", "サンダーフレア", "イクソシズム" };
            ChangeMagic(ref magics);

            // 配列の全ての要素を表示
            foreach (string magic in magics)
            {
                Debug.Log(magic);
            }
        }

        // for文のメソッドを呼び出す条件
        int enemyCount = 5; // 出現させる敵の数

        // for文のメソッドを呼び出す
        if (enemyCount > 0)
        {
            SpawnEnemies(enemyCount);
        }
    }
}

　このコードでは、制御文、for文、配列の操作それぞれの操作を独自のメソッドに分けています。

具体的には、

　IsBattleStartメソッドでは、ボス戦が開始するかどうかを判断し、対応するメッセージを表示しています。

　SpawnEnemiesメソッドでは、指定された数だけ敵を生成しています。

　ChangeMagicメソッドでは、魔法の配列を受け取り、その中で"ペトロクラウド"という名前の魔法を"テンペスト"に変更しています。

　そして、Startメソッドの中で、これらのメソッドを呼び出しています。
具体的には、IsBattleStartメソッドは、ユーザーがアイテムAとアイテムBを持っているかどうかによって呼び出されます。

戦闘が開始された場合、ChangeMagicメソッドも呼び出されて、魔法の配列が更新されます。

SpawnEnemiesメソッドは、出現させる敵の数が0より大きい場合に呼び出されます。

　以上のように、各種の処理をそれぞれメソッド化することで、コードの可読性と再利用性を向上させることができます。

＜サンプル回答②＞

　こちらでは事前に配列を用意しておき、プレイヤーにクラスとレベルの概念を持たせて判定をしています。

using UnityEngine;

public class BossBattle : MonoBehaviour
{
　　string[] playerSpells = { "ペトロクラウド", "フレイムバースト", "ヒーリングタッチ" };

　　// 制御文をメソッド化
　　void BossFight(string playerClass, int playerLevel)
　　{
    　　if (playerClass == "Warrior" && playerLevel >= 10) // "Warrior"クラスでレベルが10以上
   　　 {
  　　      Debug.Log("Warriorの準備完了。ボス戦開始");
  　　  }
   　　 else if (playerClass == "Mage" && playerLevel >= 15) // "Mage"クラスでレベルが15以上
   　　 {
   　　     Debug.Log("Mageの準備完了。ボス戦開始");
   　　 }
  　　  else
  　　  {
  　　      Debug.Log("レベルが不足。ボス戦開始できません");
  　　  }
　　}

　　// for文をメソッド化
　　void EnemyEncounter(int playerLevel)
　　{
    　　for (int i = 0; i < playerLevel; i++) // プレイヤーレベルに応じて敵を生成
   　　 {
     　　   Debug.Log($"敵キャラ{i + 1}の出現"); // 敵の番号を表示
  　　  }
　　}

　　// 配列の値を変更するメソッド
　　void SpellUpgrade(ref string[] playerSpells)
　　{
    　　for (int i = 0; i < playerSpells.Length; i++)
    　　{
    　　    if (playerSpells[i] == "ペトロクラウド") // "ペトロクラウド"を"テンペスト"に変更
    　　    {
     　　       playerSpells[i] = "テンペスト";
      　　      Debug.Log($"新しいスペル：{playerSpells[i]}");
       　　 }
    　　}
　　}

　　void Start()
　　{
  　　  string playerClass = "Mage"; // プレイヤーのクラス
   　　 int playerLevel = 15; // プレイヤーのレベル

  　　  // 制御文のメソッドを呼び出す
  　　  BossFight(playerClass, playerLevel);

    　　// for文のメソッドを呼び出す
    　　EnemyEncounter(playerLevel);

   　　 // ボスを倒した場合、配列の値を変更するメソッドを呼び出す
   　　 if (playerClass == "Mage" && playerLevel >= 15)
   　　 {
   　　     SpellUpgrade(ref playerSpells);
   　　 }
　　}
}

　このコードでは、メソッド化による処理の分割と条件に応じた挙動の変更が実装されています。

　BossFightメソッドでは、プレイヤーのクラスとレベルに基づいてボス戦の開始条件を判定しています。

　EnemyEncounterメソッドは、プレイヤーのレベルに基づいて敵の出現数を生成しています。

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