クラスの継承
最終更新：
orika_ex_miyako 2023年02月02日(木) 15:09:03履歴
継承 
継承とは、既存のクラスから新しいクラスを作成することを指します。
新しいクラスは、基底クラス（親クラス）からの継承を行い、基底クラスの持つメソッドやプロパティなどを継承することができます。
参考サイト
++C++; // 未確認飛行 C 様
継承
例えば、次のようなゲームの世界を想定します。
Console.WriteLine メソッドは Debug.Log メソッドと同じように Console に引数の内容を表示する機能です。
<= クリックすると開きます。
この例では、基底クラス Animal が定義されています。
このクラスは、名前を持つ Name プロパティと、動くための Move メソッドを持っています。
次に、基底クラス Animal から派生クラス Dog が定義されています。
このクラスは、基底クラス Animal の Move メソッドを継承します。Move メソッドの処理をそのまま利用することもできますが、
ここでは Move メソッドをオーバーライド(上書き)して、動物が動くという表現を、犬が走るという動きを表すように書き換えています。
このように、継承を行うことで、共通の振る舞いを持った複数のクラスを作成することができます。
これにより、より効率的なプログラミングが可能となります。
継承の実装例
この例では、Animal クラスが親クラスであり、Dog と Cat クラスがそれぞれの子クラスです。
Animal クラスには Name、Age、および MakeSound() というメソッドが含まれています。これらは、継承されます。
Dog と Cat クラスは、それぞれ自分自身の独自の breed 変数または furColor 変数があります。
また、各クラスでは、MakeSound() メソッドをオーバーライドして、独自のサウンドを生成することができます。
つまり、動物の種類に合わせて鳴き声を変える、ということが出来ます。
親クラス
基底クラスです。動物全体で利用可能な共通する情報を定義しておきます。
<= クリックすると開きます。
MakeSound メソッドは動物の鳴く動作を表現するためのメソッドです。
多くの動物は鳴き声を持ちますが、種類により声色が異なります。
そういった挙動は同じであっても内容が異なる部分を派生クラスで実装し、振る舞いを変えます。
子クラス��
Animal クラスを継承した Dog クラスを派生クラスとして定義します。
<= クリックすると開きます。
子クラス��
Dog クラスと同じように Animal クラスを継承した Cat クラスを定義します。
<= クリックすると開きます。
どちらのクラスにも MakeSound メソッドが継承されていますが、処理の内容が異なる形で実装されています。
これを振る舞いを変えると呼びます。メソッドの振る舞いを変えることが継承による大きな利点の１つです。
つまり、MakeSound メソッドを実行した場合、それが Dog クラスの MakeSound メソッドであれば犬の鳴き声を
Cat クラスの MakeSound メソッドであれば猫の鳴き声を実行します。
そのため、実行するメソッド自体は同じ MakeSound メソッドにもかかわらず、実行されたクラスの MakeSound メソッドにより処理が自動的に変わることになります。
基底クラスと派生クラス
それでは先ほどの例を元に用語や処理の内容を説明します。
C# の継承において、基底クラス(base class)と派生クラス(derived class)という用語が使われます。
基底クラスは、親クラス、スーパークラス(super class)とも呼ばれます。
他のクラスの機能を拡張または変更することを目的として新しいクラスを作成する際に継承するための、元になるクラスのことです。
基底クラスには共通の機能として、メンバー（フィールド、メソッド、プロパティなど）を定義することができます。
派生クラスは、子クラス、またはサブクラス(sub class)とも呼ばれます。
基底クラスの機能を継承し、自分独自の機能を追加することができる新しいクラスのことです。
派生クラスは、基底クラスのメンバーをオーバーライド(上書き)したり、新しいメンバ変数を追加することができます。
protected 修飾子
protected 修飾子は、同じアセンブリ内の派生クラスからアクセス可能なメンバー（フィールド、メソッド、プロパティなど）を定義するために使用されます。
主に基底クラスにおいて、派生クラスでも利用したいメンバーに対して利用します。
派生クラスでは基底クラスのメソッドや変数をオーバーロードする際には、同じ修飾子を利用する必要があります。
例えば、基底クラスにおいて public 修飾子や protected 修飾子を利用しているメンバーは同じ修飾子で定義します。
＜基底クラス＞
using UnityEngine;
public class Animal
{
protected int age;
public void SetAge(int value)
{
age = value;
}
protected virtual void MakeSound()
{
Debug.Log("The animal makes a sound");
}
}
＜派生クラス＞
public class Dog : Animal
{
protected override void MakeSound()
{
Debug.Log("The animal makes a sound");
}
}
上記の例では基底クラス Animal の age フィールドは protected で修飾されています。
このため、派生クラス Dog からは age フィールドにアクセスすることができます。
しかし、同じアセンブリ外からはアクセスすることはできません。
protected で修飾されたメンバーは、派生クラス内でオーバーライドすることもできます。
上記の例では、MakeSound メソッドをオーバーロードしています。その際、メソッドの修飾子は基底クラスと同じ protected 修飾子を利用しています。
これにより、派生クラスで独自の振る舞いを定義することができます。
virtual キーワードと override キーワード
virtual キーワードと override キーワードは、C# の継承に関連するキーワードです。
virtual キーワードは、基底(親)クラスで定義されたメソッドを、派生(子)クラスでオーバーライドすることを許可するために使用されます。
このキーワードを付けたメソッドは、派生クラスで再定義することができます。
一方、override キーワードは、派生クラスで基底クラスで定義された virtual メソッドをオーバーライド(上書き)するときに使用されます。
派生クラスで override したメソッドは、基底クラスで定義された virtual メソッドを上書きすることになります。
＜基底(親)クラスにて MakeSound メソッドを定義＞
class Animal
{
public virtual void MakeSound()
{
Debug.Log("Animal Sound");
}
}
＜派生(子)クラスにて MakeSound メソッドを上書き＞
class Dog : Animal
{
public override void MakeSound() // メソッドの virtual キーワードを override キーワードに変えて定義する
{
Debug.Log("Bark!");
}
}
この場合、Console ビューには Bark! と表示されます。
継承の利点
クラスを継承することによる利点をまとめておきます。
オブジェクト指向型プログラム全般において共通の認識になりますので、覚えておくと言語の枠を超えて役立ちます。
＜１．コードの反復性＞
親クラスに定義されたプロパティやメソッドを子クラスが継承することにより、同じタスクを再利用することができます。 これにより、コードの複雑さが減少し、再利用可能なモジュールを作成することができます。
＜２．抽象化＞
親クラスに抽象的な概念を定義することにより、子クラスに具体的な実装を提供することができます。 これにより、全体的な構造が保たれ、コードがより整理されます。
＜３．ポリモーフィズム＞
継承を使用することにより、同じメソッド名を持つ複数のクラスを一つの変数型として扱うことができます。 これにより、同じインターフェースを持つ複数のクラスを同様に処理することができます。
＜４．継承階層の構築＞
継承を使用することにより、クラス間の関連性を定義することができます。 これにより、親クラスから子クラスに概念が伝播することができます。
抽象クラスと抽象メソッド
抽象クラスとは、特定のメソッドやプロパティを実装することを要求するクラスのことです。
抽象クラスはそれ単体では実際に動作することはできませんが、必要なメソッドを実装することにより、子クラスを作成することができます。
つまり継承を前提とした、基底クラスとしての役割を持ちます。
抽象メソッドは抽象クラス内にのみ定義できるメソッドです。
実装を持たず、派生クラス内で実装を行います。
親クラス
この例では、抽象クラス Animal に抽象メソッド MakeSound を定義しています。
この抽象メソッドは、子クラス Dog と Cat で実装する必要があります。
MonoBehaviour クラスを継承しているため、この Animal クラスを継承した派生クラスも MonoBehaviour の機能を利用できます。
<= クリックすると開きます。
子クラス��
抽象クラスである Animal を継承しているため、Animal クラスに定義されている抽象メソッドである
MakeSound メソッドを override キーワードを利用して実装する必要があります。
通常のクラスの継承と異なる点は、抽象メソッドではメソッドの定義のみがあり、メソッドの中身(実装)はありません。
そのため抽象クラスを継承した際には、必ず、抽象メソッドを記述して実装する必要があります。
今回は MakeSound メソッド内に Debug.Log メソッドを実装し、犬の鳴き声を表示しています。
また Dog クラスでは新しく bleed 変数を宣言し、犬種の情報を扱えるようにしています。
この情報は Animal クラスにはない情報ですので、Dog クラスでのみ利用できる変数になります。
<= クリックすると開きます。
子クラス��
Dog クラスと同じように Animal クラスを基底クラスとして継承し、MakeSound メソッドを override して実装しています。
鳴き声として Debug.Log メソッドで表示される内容が異なっていることが分かります。
Cat クラスでも新しく furColor 変数を宣言し、毛色の情報を扱えるようにしています。
この情報は Dog クラスにはない変数であるため、Cat クラスでのみ扱う情報です。
<= クリックすると開きます。
利点
上記の例では、Animal クラスは抽象クラスとして定義されています。
そのため、Animal クラスには MakeSound() メソッドが含まれますが、このメソッドは実装されていません。
これは、抽象メソッドであるため、派生クラス(子クラス)によってオーバーライドされることを強制することを意味します。
Dog と Cat クラスは、Animal クラスを継承し、MakeSound() メソッドを実装することによって、抽象メソッドをオーバーライドすることができます。
インターフェースと抽象クラスの違い
C# では抽象的な振る舞いを与える機能として、インターフェースと抽象クラスの両方が用意されていますが、これらは異なる特性を持つものです。
＜インターフェース＞
インターフェースは、特定のメソッドやプロパティを実装することを要求するものです。
クラスは複数のインターフェースを実装することができます。
＜抽象クラス＞
この例では、抽象クラス Animal に抽象メソッド MakeSound を定義しています。
この抽象メソッドは、子クラスで実装する必要があります。
抽象クラスは、特定のメソッドやプロパティを実装することを要求するものですが、抽象クラスは実際に動作することができます。
抽象クラスは、必要なメソッドを実装することにより、子クラスを作成することができます。
以下は、インターフェースと抽象クラスの違いを示すための主な利点です。
＜インターフェースの利点＞
１．複数のクラスに同じメソッドを実装させることができます。 ２．クラス間の結合度が低くなり、より可搬性が高くなります。
＜抽象クラスの利点＞
１．一部の実装を提供することができます。 ２．子クラスに共通のフィールドやメソッドを定義することができます。 ３．子クラスの継承階層を構築することができます。
結論として、インターフェースは多数のクラスに同じメソッドを実装させることができるのが利点であり、
抽象クラスは子クラスに共通のフィールドやメソッドを定義することができるのが利点です。
使用する際には、使用目的に応じて適切なものを選択することが重要です。
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