UniTask を使った非同期処理と InstantiateAsync の活用例
最終更新：
orika_ex_miyako 2025年02月27日(木) 16:51:07履歴
開発環境 
Unity 6000.0.32f1
はじめに
Unity の非同期処理を扱う際には、従来のコルーチンのほかに C# の Task ベースのアプローチ(async/await)を用いることができます。
この記事では、UniTask を使用して非同期処理を管理しつつ、InstantiateAsync と AsyncInstantiateOperation.SetIntegrationTimeMS を組み合わせたサンプルコードを紹介します。
また、MonoBehaviour.destroyCancellationToken を活用したキャンセル処理についても解説し、コルーチンとの違いについて比較します。
UniTask の基礎知識
UniTask は、Unity 向けの軽量な非同期処理ライブラリです。
以下の特徴があります。
・非同期タスクベースの処理管理 ・コルーチンよりも簡潔で柔軟な記述 ・Unity の特定機能（AsyncOperation など）と連携
UniTask をプロジェクトに導入するには、以下の手順を実行します。
１．Unity Package Manager を開く。 ２．ボタンから "Add package from git URL..." を選択。 ３．以下の URL を入力してインストール https://github.com/Cysharp/UniTask.git?path=src/UniTask
非同期生成処理のメリット
Unity 2022.3.20f1 より、非同期処理による生成が可能な InstantiateAsync メソッドが追加されました。(ほかにもいくつかのメソッドが追加されています。)
Unity Releases
Unity 2022.3.20
https://unity.com/ja/releases/editor/whats-new/202...
プレハブを利用したゲームオブジェクトの生成は Instantiate メソッドを利用して行いますが、この場合、複数のオブジェクトの生成をまとめて行うと、処理が重くなる(画面がカクつく)ことが問題でした。
InstantiateAsync メソッドは非同期処理としてプレハブの生成が可能になるため、このデメリットを回避して生成処理を行うことが可能になっています。
ただし、通常の Instantiate メソッドよりは負荷が高いため、運用には注意が必要になります。
つまり、Instantiate メソッドを単純に InstantiateAsync メソッドに置き換えればいい、というわけではない、ということです。
Unity 公式スクリプトリファレンス
Object.InstantiateAsync
https://docs.unity3d.com/6000.0/Documentation/Scri...
InstantiateAsync メソッドを利用してゲームオブジェクトの生成を行うと、生成処理自体は並列で行われます。
そして生成されたゲームオブジェクトは、そのあとに Awake メソッドが呼ばれますが、これは、まとめてメインスレッドで呼ばれます。
そのため大量に生成を行うと、たとえ非同期処理であっても Awake メソッドが大量に処理されてしまって、結果的に恩恵を受けられない状況が発生します。
それを回避するため、AsyncInstantiateOperation.SetIntegrationTimeMS メソッドが追加されています。
これは引数で指定したミリ秒数を超えると、終了していない Awake メソッドは、次のフレームにて解決されるようになります。
Unity 公式動画
【Unity】非同期にインスタンスを大量生成！新 API "InstantiateAsync" を使ってみよう！
https://www.youtube.com/shorts/Q9K-3zkEijQ
Unity 公式スクリプトリファレンス
AsyncInstantiateOperation.SetIntegrationTimeMS
https://docs.unity3d.com/6000.0/Documentation/Scri...
通常のプレハブを使用したサンプルコード
以下は、通常のプレハブを使用してオブジェクトを一定間隔で生成し、UniTask のキャンセル処理も実装した例です。
キャンセル処理については MonoBehaviour.destroyCancellationToken を利用しています。
Unity 公式スクリプトリファレンス
MonoBehaviour-destroyCancellationToken
https://docs.unity3d.com/ja/current/ScriptReferenc...
using UnityEngine;
using Cysharp.Threading.Tasks;
using System.Threading;
public class AsyncSpawner : MonoBehaviour
{
[SerializeField] private GameObject prefab;
[SerializeField] private int spawnCount = 10;
[SerializeField] private float spawnInterval = 1.0f;
private void Start()
{
SpawnObjectsAsync(destroyCancellationToken).Forget();
}
private async UniTaskVoid SpawnObjectsAsync(CancellationToken cancellationToken)
{
for (int i = 0; i < spawnCount; i++)
{
// 生成
GameObject instance = Instantiate(prefab);
// 配置と初期化
instance.transform.position = new Vector3(i * 2, 0, 0);
// 指定間隔で待機
await UniTask.Delay(System.TimeSpan.FromSeconds(spawnInterval), cancellationToken: cancellationToken);
}
}
}
コードのポイントとしては、生成処理自体は同期処理である Instantiate メソッドを利用しています。
また、Addressables を使わず、直接プレハブをインスペクターから指定して登録しています。
キャンセル処理については、destroyCancellationToken を使用して、UniTask が破棄時に中断できるようにハンドリングしています。
非同期処理の制御については、コルーチンではなく UniTask.Delay を利用して一定間隔で生成を行っています。
コルーチンとの違い
上記と同じ処理をコルーチンで実装すると以下のようになります。
追加したり、修正した部分だけを抜粋します。
using System.Collections;
private void Start()
{
StartCoroutine(SpawnObjectsCoroutine);
}
private IEnumerator SpawnObjectsCoroutine()
{
for (int i = 0; i < spawnCount; i++)
{
GameObject instance = Instantiate(prefab);
instance.transform.position = new Vector3(i * 2, 0, 0);
yield return new WaitForSeconds(spawnInterval);
}
}
もしもこのコルーチンを、ゲームオブジェクトの破棄以外でも途中で停止させたい場合には、上記の処理では停止できません。
下記のような、変数に処理を代入する形で処理を作ることで、途中で停止できるようになります。
書式は異なりますが、IEnumerator 型と Coroutine 型のどちらでも対応できます。
private IEnumerator coroutine;
private void Start()
{
coroutine = SpawnObjectsCoroutine();
StartCoroutine(SpawnObjectsCoroutine);
}
// コルーチンを途中で停止するメソッド
public void StopSpawning()
{
StopCoroutine(spawnCoroutine);
}
private Coroutine coroutine;
private void Start()
{
coroutine = StartCoroutine(SpawnObjectsCoroutine);
}
// コルーチンを途中で停止するメソッド
public void StopSpawning()
{
if (spawnCoroutine != null)
{
StopCoroutine(spawnCoroutine);
spawnCoroutine = null;
}
}
Addressables を利用したサンプルコード
以下は、Addressables を使用してオブジェクトを一定間隔で非同期的に生成し、キャンセル処理も実装した例です。
こちらでは InstantiateAsync メソッドと AsyncInstantiateOperation.SetIntegrationTimeMS メソッドを利用して
非同期処理を利用してオブジェクトの生成を行っています。
using UnityEngine;
using Cysharp.Threading.Tasks;
using System.Threading;
using UnityEngine.AddressableAssets;
using UnityEngine.ResourceManagement.AsyncOperations;
public class AsyncSpawner : MonoBehaviour {
public AssetReference prefabReference;
public int spawnCount = 5;
public float spawnInterval = 1.0f; // 秒
public float timeMs = 2.0f; // ミリ秒
private void Start() {
SpawnObjectsAsync(destroyCancellationToken).Forget();
}
private async UniTaskVoid SpawnObjectsAsync(CancellationToken cancellationToken) {
for (int i = 0; i < spawnCount; i++) {
// キャンセルチェック
cancellationToken.ThrowIfCancellationRequested();
// 非同期処理による生成処理の実行
AsyncOperationHandle<GameObject> handle = prefabReference.InstantiateAsync();
// SetIntegrationTimeMS を利用して Awake 実行タイミングを制御
AsyncInstantiateOperation.SetIntegrationTimeMS(timeMs);
// 生成完了まで待機
GameObject instance = await handle.Task;
// 配置と初期化
instance.transform.position = new Vector3(i * 2, 0, 0);
// 指定間隔で待機
await UniTask.Delay(System.TimeSpan.FromSeconds(spawnInterval), cancellationToken: cancellationToken);
}
}
}
まとめ
この記事では、UniTask と通常のプレハブを利用した同期オブジェクトの生成処理と、非同期オブジェクト生成処理について解説しました。
１．UniTask を利用した非同期処理により、フレームパフォーマンスを維持。 ２．柔軟なキャンセル処理の組み込み。
オブジェクトの生成はコストのかかる処理でありますが、同期的な生成処理が適しているか、あるいは非同期処理でも問題がないのか、
これらを適切な場面で使い分けることで柔軟な処理を実装できるようになります。
特にプロジェクトでの非同期処理の最適化を行う際には、こういった部分を念頭においてチャレンジしてみてください。
参考サイト
参考にさせていただきました。ありがとうございました。
Zenn amp 様
【Unity】InstantiateAsyncの使い方と速度検証
https://zenn.dev/ambr_inc/articles/1636d59bdf8786
Hatena Blog MRが楽しい 様
UnityでMonoBehaviourの破棄を検知するキャンセルトークンを参照する
https://bluebirdofoz.hatenablog.com/entry/2024/10/...
LIGHT11 様
【Unity】Unity6から追加された「InstantiateAsync」でオブジェクトを非同期生成する
https://light11.hatenadiary.com/entry/2024/12/18/1...
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