３Ｄ宝石集めアクションゲーム　手順１７

　前回の手順を修正し、複数の宝石の中から、ランダムに選択した宝石を自動生成する機能を実装します。

＜実装画像＞

＜実装動画＞

　以下の内容で順番に実装を進めていきます。

手順１７　ーランダムに選択した宝石を自動生成する機能ー

・GemSpawner スクリプトを修正する

＜新しく学習する内容＞

　・while 文とコルーチンメソッドを利用したループ処理①
　・Random.Range() メソッド
　・配列の活用方法①　ーRandom.Range メソッドと配列を利用した実装の組み合わせ例ー

１．設計

２．GemSpawner スクリプトを修正する

　Update メソッドを利用して時間を計測する処理の他に、コルーチンという機能に while 文を組み合わせて利用することで
時間の計測処理を制御する方法があります。

　機能的には同じ内容になりますが、Update メソッドを利用することなく、かつ、コルーチンは非同期処理であるため、処理の負荷軽減が行えます。
　

GemSpawner.cs

<= クリックすると開きます

using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;

public class GemSpawner : MonoBehaviour
{
    [SerializeField]
    private GameObject gemPrefab;

    public float spawnInterval;　　　　//　宝石を生成するまでの待機時間の設定値用の変数

    private float timer;               //  ゲーム内時間の計測用の変数。今回は使わない


////*  ここから変数を２つ追加  *////


    [SerializeField]
    private Transform[] spawnGemTrans;　　　//　ランダムに生成するときに利用する範囲を設定するゲームオブジェクト群の Transform

    public bool isSpawnGem;　　　　　　　　 //　生成処理を行うかどうかの判定値。true なら生成する


////*  ここまで  *////


    void Start() {
        // 宝石の生成
        //SpawnGem();


////*  新しい処理を追加  *////


　　　　// 中断時間の計測監視
        StartCoroutine(ObserveTimer());


////*  ここまで  *////


    }

    /// <summary>
    /// 宝石の生成
    /// </summary>
    public void SpawnGem() {

        // 生成
        Instantiate(gemPrefab);

        Debug.Log("宝石生成");
    }

    void Update()
    {

////*  ここからコメントアウト  *////


        //SpawnTimer();　　　//　時間の計測方法を変更するので、コメントアウトします


////*  ここまで  *////

    }

    /// <summary>
    /// 時間経過による宝石の生成
    /// </summary>
    private void SpawnTimer() {
        timer += Time.deltaTime;

        if (timer >= spawnInterval) {
            timer = 0;
            SpawnGem();
        }
    }


////*  ここからメソッドを２つ追加  *////


    /// <summary>
    /// 時間の計測監視
    /// </summary>
    /// <returns></returns>
    private IEnumerator ObserveTimer() {

　　　　// while 文は 条件式 を満たす限りループする。ここでは isSpawnGem変数の値が true である間は while 内の処理が繰り返し実行される
        while (isSpawnGem) {

　　　　　　// 時間の計測
            timer += Time.deltaTime;

            if (timer >= spawnInterval) {
                timer = 0;
                RandomSpawnGem();
            }

　　　　　　// 1フレームだけ処理を中断
            yield return null;
        }

　　　　// while文の外に処理が記述されていた場合には、上記のwhile文の処理が終了してからでないと処理が実行されない
        Debug.Log("自動生成終了");
    }

    /// <summary>
    /// ランダムに選択された１種類の宝石の生成
    /// </summary>
    public void RandomSpawnGem() {

        // 配列に登録されている宝石のプレハブの番号を１つ選択する
　　　　int index = Random.Range(0, gemPrefabs.Length);

        // 生成。生成対象には、配列の要素番号を指定しているので、要素番号内にある要素(宝石のプレハブ)が生成される
        Instantiate(gemPrefabs[index]);

        Debug.Log("ランダムに選択された宝石生成");
    }


////*  ここまで  *////


}

　スクリプトを修正したらセーブします。

　このスクリプトでは、指定した時間が経過するごとに、配列内からランダムに選択された宝石を生成する機能を実装しています。
Start()関数で、ObserveTimer()というコルーチンを開始しています。このコルーチンは、isSpawnGemがtrueの間、時間の計測を行い、
spawnInterval秒ごとにRandomSpawnGem()を呼び出して宝石を生成します。

＜while 文とコルーチンメソッドを利用したループ処理①＞

　while(ホワイル) 文は反復処理と呼ばれる処理です。条件を満たしている限り、繰り返し処理を行います。

　今回のケースでは条件が「isSpawnGem 変数の値が true の間」です。
よって、isSpawnGem 変数の値が true 以外の値(false)になるまではずっと繰り返されて終わることのない処理になります。　

　大きく分けて、for 文による繰り返しの処理は繰り返す回数が決まっている場合に利用し、
繰り返しの処理を回数ではなく条件によって設定したい場合には while 文を利用します。

　while文によるループ処理はコルーチンメソッド内でも記述することができます。
今回は yield return null を利用し、１フレームだけ中断してループを繰り返すという処理を実装しています。

     private IEnumerator ObserveTimer() {

　　　　// while 文は 条件式 を満たす限りループする。ここでは isSpawnGem変数の値が true である間は while 内の処理が繰り返し実行される
         while (isSpawnGem) {

　　　　　　// 時間の計測
            timer += Time.deltaTime;

            if (timer >= spawnInterval) {
                timer = 0;
                RandomSpawnGem();
            }

　　　　　　// 1フレームだけ処理を中断
            yield return null;
        }

　　　　// while文の外に処理が記述されていた場合には、上記のwhile文の処理が終了してからでないと処理が実行されない
        Debug.Log("自動生成終了");
    }
}

　今回実装している while 文内の処理では、SpawenTimer メソッド内で記述していた処理と同じ処理を実行しています。
違いはコルーチンメソッドを利用し、yield return null の処理をすることで、1フレーム処理を中断して再開しています。
この中断処理を挟むことで、疑似的な Update メソッドのような状態を作り出しています。

　そのため、この while 文による繰り返しの処理は次のような挙動になります。

　１．while 文の条件を満たしているか、確認する。満たしていない場合には、処理を終了する
　２．条件を満たしている場合には、while 文内の処理を実行する。(SpawenTimer メソッドと同じ内容)
　３．1 フレーム処理を中断する
　４．【１】の処理に戻る

　コルーチンメソッドを利用し、while 分内に yield return null の中断処理を挟むことにより
Update メソッドを利用していませんが、while 文による反復処理により、しっかりと一定の間隔で繰り返し処理を実装することが出来ています。

　なお、while 文では処理を中断する処理を挟まないと繰り返しの処理が止まらなくなって、Unity のエディターが動かなくなります。
こうなってしまうと再起動するしかなくなりますので、while 文は特に気を付けて作業してください。

参考サイト

Unity 公式マニュアル
コルーチン

未確認飛行 C 様
反復処理

@kwst様
コルーチンの初歩的な使い方【Unity, 初心者】

　他にも自動的に攻撃を行うようにする処理は考えられます。色々な処理を試しておくことで処理の引き出しが広がり、
より多くの処理を実装できるようになりますので、いつも使っている処理だけではなく、新しい技術も取り入れていきましょう。

＜Random.Range() メソッド＞

　Random クラスに用意されているメソッドです。引数には２つの値を同じ型で指定します。指定可能な型は int 型か float 型のいずれかです。
実行すると、次のような処理を行います。

Random.Range() メソッド

　入力値(引数)　　=>　int 型の２つの値か、float 型の２つの値を指定し、第1引数から第2引数までの範囲でランダムな１つの値を取得する
　出力値(戻り値)　=>　取得したランダムな値が、int 型の引数であれば、int 型の戻り値で戻す。float 型の引数であれば、float 型の戻り値で戻す

　今回の使用例です。

　// 配列に登録されている宝石のプレハブの番号を１つ選択する
　int index = Random.Range(0, gemPrefabs.Length);

　int 型の index 変数を用意しておくことで、Range メソッドの処理結果の乱数値を取得し代入処理して保持しています。
今回の場合、0 から gemPrefabs.Length - 1までの整数を生成します。

　なぜ第2引数に gemPrefabs.Length を指定していても、gemPrefabs.Length - 1 の値までなのかと言うと、C# の配列の要素番号は 0 から始まるためです。
したがって、配列の長さ Length をそのまま指定すると、配列の範囲を超える可能性があります。

　例えば、3つの要素を持つ配列 gemPrefabs[] では、有効な要素番号は0, 1, 2となります。
しかし、Length は最大要素数を表すため、この配列の Length は 3 となります。そのまま 0 から 3 まで取得してしまうと
0, 1, 2, 3 の値が乱数として生成されてしまい、3 は有効な要素番号ではありません。

　このケースを想定しているため、Random.Range() メソッドの第2引数では、自動的に指定した値から -1 した値までの整数を乱数として生成するように機能します。

　これは int 型の Random.Range メソッドの特徴です。float 型の Random.Range メソッドでは、第2引数がそのまま最大値として利用されます。

　注意しましょう。

参考サイト
Unity 公式スクリプトリファレンス
Random.Range

＜配列の活用方法①　ーRandom.Range メソッドと配列を利用した実装の組み合わせ例ー＞

　配列の要素番号を指定する方法は非常に柔軟です。

　例えば、要素番号を指定する際、直接、整数リテラルを指定することが可能です。

Instantiate(gemPrefabs[0]); // 配列の最初の要素を生成する
Instantiate(gemPrefabs[2]); // 配列の3番目の要素を生成する

　ただし、ここで重要なことは、配列の要素番号は配列の長さ内でなければならないということです。
それを超えるとエラーが発生します。

　また、値を数値で指定してしまうと、その値に固定されてしまうため、いつも同じ要素番号しか指定できない、というデメリットがあります。

　今回はこれを回避するため、リテラルではなく、int 型の変数を利用しています。

// 生成。生成対象には、配列の要素番号を指定しているので、要素番号内にある要素(宝石のプレハブ)が生成される
  Instantiate(gemPrefabs[index]);

　Instantiate メソッドを用いて宝石のプレハブを生成しています。
このメソッドの引数には、生成したいプレハブ（この場合は配列 gemPrefabs[] の特定の要素）を指定します。

　要素の指定は、その前に生成した index 変数を使用して行います。
この変数には乱数が代入されていますので、この生成処理では、gemPrefabs 配列内からランダムなものを１つ生成する、という機能になります。

　配列には便利な利用方法があります。
今回活用している方法も使いやすく便利ですので、覚えておきましょう。

ゲームを実行して動作を確認する

＜実装動画＞

　以上でこの手順は終了です。

　=>　次は　手順１８　ーステージ内のランダムな位置に宝石を自動生成する機能ー　　です。

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